サアカスの馬たち
~グレードレース メモランダム~
サウンドガガ
【2014年 スパーキングレディーカップ】輝かしきパフォーマンスを演じたダート界の天才レディー
OBS社のマーチセールに上場され、公開調教では2ハロン21秒0のタイムをマークしたサウンドガガ。落札価格は16万5000ドルだった。
フサイチペガサスの後継であり、ハスケル招待HでG1勝ちしたローマンルーラーの産駒。母ホイッスルコール(その父フォーントリック、米1勝)の半姉にカナダの2歳牝馬チャンピオンとなったラークホイッスル(兵庫ジュニアGPに勝ったモエレソーブラッズらの母、共同通信杯を制したメイケイペガスターの祖母)がいる。
「初めて対面した2歳夏当時でも、しっかりした体型。11月に手元へ来て、短期間で出走態勢が整った。スピードは天性のものだし、センスの良さも伝わってきたよ。ただ、やはり繊細な女の子。折り合いを欠くわけではないのに、砂を被ったり、もまれるとダメなんだ。精神面がしっかりするのに時間が必要だったね」
と、佐藤正雄調教師は若駒当時を振り返る。
阪神の芝1600mを6着した後、京都のダート1200mを逃げ切る。だが、直線での失速を繰り返し、5連敗を喫してしまう。半年間のリフレッシュを経て、3歳12月の阪神、2月の京都と勝ち上がったものの、勢いは長続きしなかった。準オープンを3走した後、再び長めの休養に入る。
久々となった11月の京都、仲冬Sと連勝。いずれも好位から外を回しての差し切りであり、最後まで集中できるようになった。大和Sは出遅れて9着に沈んだが、態勢を立て直して臨んだオルフェーヴルCで2馬身半差の快勝を収める。天王山Sもわずかクビ差の惜敗だった。
トレーニングセール出身であっても、豊富な成長力を秘めていたダート界のレディー・ガガ。デビュー時に460キロ台だった体重が500キロを超えるまでに。ぐんとスケールアップした姿となり、スパーキングレディCで重賞に初挑戦。慣れないナイター競馬にも動揺せず、抜群のスタートを決めた。最後はクビ差まで迫られたとはいえ、鮮やかな逃走劇を演じる。
「体調と相談して手探りで調整してきたなか、ようやく心身が噛み合ってきた。もともと調教は動いたが、やればいくらでもタイムが出てしまう。栗東でも10本の指に入る自信があったよ。厚みを増したトモだけを見れば、スプリンター特有の雰囲気。マイルはちょっと長いと見ていたが、全体に伸びもあり、小回りコースならこなして不思議はないと思っていた」
結局、手にした勲章はひとつだけだったが、6歳時は天王山Sに優勝。スパーキングレディCも2着に逃げ粘った。翌冬の太秦S(7着)まで先行力に衰えは見られなかった。
繁殖となっても、順調に産駒が誕生。母譲りの天才的なパフォーマンスを演じる産駒が登場しても不思議はない。